【ご相談内容】
「年金分割の請求期間はいつまでか?」というご相談を受けることがあります。
※年金分割一般の解説については以下の記事をご覧ください。
https://os-lawyer.jp/cases/358/(年金分割とは何か?(年金分割をすべきか?))
【解決方針】
年金分割の請求期間は、令和8年4月1日より前に離婚が成立している場合には、離婚した日の翌日から2年以内です。
一方で、令和8年4月1日以降に離婚が成立する場合には、離婚した日の翌日から5年以内です。
つまり、離婚が成立したのが令和8年4月1日より前か、それ以降かで、請求期限が変わることになります。
※以下、弁護士向け解説となります。
財産分与の請求期限が、令和8年4月1日以降の離婚においては、2年ではなく5年になることは広く知られているものと思いますし、法務省の解説も出ています。
一方で、年金分割の請求期限も、令和8年4月1日以降の離婚においては、2年ではなく5年になることは余り知られていません。法務省からの解説も出ていない上、現状では、日本年金機構のHPでも「分割請求の期限は、原則として、次の事由に該当した日の翌日から起算して2年以内です。」との記載があるのみで、5年への伸張についての記載はみられません。
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/seido/kyotsu/rikon/20140421-04.html(日本年金機構HP)
この点に関する官公庁からの説明としては、厚労省が公表している下記資料の3ページ目の「2.見直しの方向性」「民法における離婚時の財産分与請求権の除斥期間が現行の2年から5年に伸長されることに伴い、離婚時の年金分割の請求期限についても現行の2年以内から5年以内に伸長する。」という記述が見られる程度です。しかも、その後、実際にこの内容で法改正されたのかも判然としません。
https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001325263.pdf(厚労省資料)
しかし、下記厚労省HP①の「社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律案(令和7年5月16日提出)」の「法律案新旧対照条文」の「厚生年金保険法」の「(離婚等をした場合における標準報酬の改定の特例)第七十八条の二」(第1項柱書但書)を見ると、年金分割の請求期限が、「離婚等をしたときから二年を経過したとき」から「離婚等をしたときから五年を経過したとき」に変更する旨の法案が国会に提出されたことが確認できます。
その上で、下記厚労省HP②の「令和7年5月16日、『社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律案』を第217回通常国会に提出し、衆議院で修正のうえ、6月13日に成立しました。」との記載からすると、上記法案が成立し、離婚時の年金分割の請求期限が実際に2年から5年に伸長されたものといえます。
https://www.mhlw.go.jp/stf/topics/bukyoku/soumu/houritu/217.html(厚労省HP①)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000147284_00017.html(厚労省HP②)