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2025/08/29

弁護士による着手金詐欺~注意喚起~

こんにちは、弁護士の尾形達彦です。本日は、あまり気持ちの良い話題ではないのですが、弁護士による着手金詐欺について解説します。

 

1 着手金詐欺とは何か
「弁護士による着手金詐欺」というのは、聞きなじみのない言葉だと思います。弁護士は依頼者の味方です。その弁護士が依頼者に対して詐欺を働くというのは、通常では考え難いところです。「弁護士による着手金詐欺」がどういうものなのかというと、お金の回収可能性がほとんどないにもかかわらず、お金が回収できると偽って、依頼人から着手金を受け取るというものです。

 

2 弁護士会による処分が続いている
弁護士が非行をすると、弁護士の自治組織である弁護士会が、弁護士に対して処分をくだします。最近、弁護士が着手金詐欺を行って、弁護士会に処分されるという事例が続いています。

 

3 誰が注意すべきか
弁護士による着手金詐欺を、どのような方が注意すべきかというと、典型的には詐欺にかかってお金を取られ、相手方と連絡が取れなくなったものの、お金をどうにかして取り返そうとしている方です。つまり、詐欺被害者です。特に、最近では、詐欺の中でも、外国人を装い、SNSを通じて被害者に接近して一定期間交流し、恋愛感情や親近感を抱かせて、お金をだまし取ったり、一緒に投資をやろうと誘ってお金をだまし取ったりする、「国際ロマンス詐欺」といわれる手法が多くなっています。このような詐欺の被害者が弁護士に相談するときには、「弁護士による着手金詐欺」というものが存在することを、念頭において欲しいと思います。

 

4 着手金詐欺を疑うべきポイント
着手金詐欺を働く弁護士がどのようなことをホームページに書いたり、言ったりするかという、「お金は絶対に返ってきます」「お金はすぐに返ってきます」「私であれば、必ずお金を取り返せます」「同様の事例でお金を全額回収することができました」、そういった甘い言葉です。詐欺にかかった方にとって、こういった甘い言葉は特に魅力的に感じられることでしょう。しかし、弁護士は、法律相談の際、リスクに応じた説明を行います。連絡が取れなくなってしまった相手からお金を取り返すのは、簡単なことではありません。それにもかかわらず、弁護士が、「絶対」や「全額回収」といった強気な文言をホームページに載せていたり、言葉を使ったりする場合には、十分注意すべきです。

 

着手金詐欺を疑うべきポイントは、法律事務所のホームページの文言や、弁護士が使う言葉以外にもあります。一番重大なのが、弁護士に直接連絡が取れない場合です。弁護士に相談して依頼しようと思っているのに、一向に弁護士に連絡が付かず、事務員とだけ話すような状態となったときには、着手金詐欺を疑うべきです。

 

他にも、

・弁護士が一人しかいないのに、ホームページ上に24時間365日相談対応と書かれている

・「LINEで相談」とホームページ上表示されているにもかかわらず、実際には弁護士でない者がLINEのメッセージを作成しており、弁護士が対応してくれない

・ホームページ上に詐欺専門弁護士であるといった文言が入っている

場合には十分注意してください。

 

詐欺にかかり、お金を取り返そうとしている方は、これまで紹介した注意点に十分注意した上、弁護士に依頼するか判断してください。

 

5 着手金詐欺とそうでない場合の違い
ただ、弁護士というのは、お金を取り返して欲しいという依頼自体は日常的に受けています。そのため、お金を取り返して欲しいという依頼をするときに、常に「弁護士による着手金詐欺」のことを心配する必要はありません。あくまで、詐欺にかかり、お金を取り返そうとしている場合に注意して依頼した方が良いという話です。弁護士全体の信頼を損なう、着手金詐欺を行っている弁護士に対しては怒りを感じるばかりです。

 

6 まとめ
本日は「弁護士による着手金詐欺」についてお話しました。

まとめると、

弁護士による着手金詐欺とは、お金の回収可能性がほとんどないにもかかわらず、お金が回収できると偽って、依頼人から着手金を受け取るというものです。

 

注意すべきなのは、

①弁護士が直接対応せず、事務員としか連絡できない。

ホームページ上で

②「絶対」や「全額回収」といった強気な言葉が使われている

③詐欺専門弁護士であるといった表示がされている

④弁護士が一人しかいないのに、24時間365日相談対応と書かれている

という点です。

 

本日の解説は以上となります。最後までお読みいただきありがとうございました。

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