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2025/07/21

面会要求等罪(刑法182条)の解説

1 はじめに

こんにちは、弁護士の尾形です。

今回は、2023713日から適用が開始された面会要求等罪という刑法上の罪について解説します。

この罪は、わいせつの目的をもって特定の条件のもと16歳未満の者に会うよう要求するだけで適用されるという、これまで明確には処罰対象ではなかった行為も処罰対象とするものです。面会要求等罪は、適用が開始されてから1か月程度で逮捕者が出るなど、今後の運用が注目されているため、解説することにしました。

まず、20236月には、刑法が改正され、新たな法律が作られ、2023年の713日からそれらの適用が開始されました。特に重要な改正は、「不同意性交等罪」(刑法177条)と「面会要求等罪」(刑法182条)の創設、新たな法律である「性的姿態撮影処罰法」の創設の3点です。

本日は、このなかの面会要求等罪の創設を解説するものです。

 

2 面会要求等罪の内容

面会要求等罪は、刑法182条に定められています。条文をみると、様々なことが書かれています。しかし、罪となる行為は、おおまかに分けて、3つです。すなわち、

① わいせつの目的をもって、16歳未満の者に対して、特定の条件のもと、自分と会うように要求すること(1項)。

② ①の結果、わいせつの目的で会うこと

③ 性交等をしている姿や、性的な部位が露出した姿を撮影したものを送るよう要求すること(3項)。

です。

 

刑罰はそれぞれ、

①と③が、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金

②が、2年以下の懲役又は100万円以下の罰金

となっています。

 

まず、①を見ていきましょう。

①わいせつの目的をもって、16歳未満の者に対して、特定の条件のもと、自分と会うように要求すること(1項)。

特定の条件としては、以下の3つが定められています。一見すると難しい言葉ですが、言い換えると、

一 威迫し、偽計を用い又は誘惑して面会を要求すること。

=脅す。うそをつく、甘い言葉で誘う

二 拒まれたにもかかわらず、反復して面会を要求すること。

=拒まれたのに、何度も繰り返し要求する

三 金銭その他の利益を供与し、又はその申込み若しくは約束をして面会を要求すること。

=金銭や物を与える、その約束をする

という意味です

やはり、驚くべきは、16歳未満の人に対して自分と会うよう要求しただけで処罰されるということです。会うよう要求しただけでも、逮捕され、処罰される可能性があるということです。

 

2つ目は、

②会うよう要求した結果として、わいせつの目的で会うこと

これも処罰の対象とされます。会うよう要求することとは別に、会うことも処罰の対象とされています。

 

3つ目は、

③性交等をしている姿や、性的な部位が露出した姿を撮影したものを送るよう要求すること(3項)

です。代表的な行為としては、性的な自撮り画像を送らせるというものがあげられます。未成年に性的な自撮り画像を送らせることが、全国的に処罰されるようになりました。

 

以上の行為は、従前から、青少年育成条例により一部の都道府県で禁止されていました。しかし、この度、都道府県ごとの条例での規制ではなく刑法で全国的に規制されるようになったのです。

 

3 まとめ

今回の話のまとめです。

面会要求等罪(刑法182条)が、2023713日から適用されるようになりました。

面会要求等罪で処罰される行為は主に3つです。

① わいせつの目的をもって、16歳未満の者に対して、特定の条件のもと、自分と会うように要求すること(1項)。

② ①の結果、わいせつの目的で会うこと

③ 性交等をしている姿や、性的な部位が露出した姿を撮影したものを送るよう要求すること(3項)。

特に気を付けるべき点は、未成年に、わいせつの目的で、会うよう要求しただけで処罰されるようになったということです。

今回の解説は以上です。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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